畜産の展開と環境問題

摘要

日本畜産の過去50年にわたる急速な発展は、現在の畜産を巡る環境保全の諸問題と深い関わり合いがある。 この総説では、土地利用型畜産である酪農と施設型畜産である養豚における発展の経緯とふh尿処理問題について述べた。 畜産におけるふh尿排出量は飼育規模の拡大につれて増加し、平成8年度には、平均的酪農経営では年間約700トン、平均的養豚経営では年間約1，300トンと推定される。 これらの処理の適否はこれからの畜産の進路に大きい影響を及ぼすが、このなかで、窒素の利用を適切にすすめる場合の課題としてふh尿の処理過程における窒素の動態をより明確に把握する必要のあることを論じ、また、環境保全型畜産のあり方について言及した。