ラオス、ビエンチャン平野の天水田農村における品種選択と収量分布の特徴

摘要

地形的にはタイ東北部コラート高原の北線に位置するラオス，ビエンチャン平野では天水田を基盤とする稲作が営まれている．この地域における水田立地条件と栽培方法や生産量との関連性を明らかにするために，2004年7月から2005年3月までにわたり，ビエンチャン特別市の東北部に位置するサイタニー郡内の全104ケ村において土地利用と稲作に関する聞き取り調査を行った．これによると各村における平均的な土地利用面積率は水田50.0％，陸稲1.2％，畑作及び菜園7.4％，森林21.2％となっていた．雨期作水稲品種のうち，もち品種の作付面積は平均79.4％であった．また早晩性別品種作付率の平均値は早生44.7％，中生42.3％，晩生13.0％となっており，早生品種作付率の特に高い村はメコン川とその支流ナムグム川とに挟まれた丘陵上に多く分布していた（第1図）．雨期作の平均収量は2.4t／ha，最低0.9t/ha，最高4.4t／haのようであったが，品種構成の違いとは明瞭な関係は認められなかった（第2図）．