【7】竹原 恵、幸子夫妻が世に出した愛宕ナシ

摘要

愛宕ナシは，菊池秋雄氏が大正4年（1915）に東京府立園芸学校の玉川果樹園で「二十世紀」の自家受粉で結実した種子を採取し，その実生から得られたものである。 後に，同氏は葉や花，果実の形態的特徴から見て，二十世紀の自家受粉に由来するものではなく，「今村秋」が花粉品種であろうとした。 神剋i慣農事試験場が示した品種特性に関する調査報告（昭和2年）では「樹勢は強くはをいが，二十世紀や今村秋よりも発育が良い」となっている。 しかし，岡山県での栽培経験からは，樹勢はニホンナシの各品種よりも弱く，新梢が細く，その発生も少をいとされている。 一方，花芽の着生は多く，短果枝の維持も容易である。 開花期が他の主要品種よりも数日早く，自然受粉では結実や果実発育に不十分である。 また，晩霜の被害にも遭いやすい。 11月に収穫される晩生ナシで，大果で多汁，甘く，芳香もあるが，梗端部（果実の上部）と帝（てい）端部（同下部）の凹凸が激しく，全体的にも変形果が多いのが大きな問題である。