平成29年度農業研究所における試験研究の取り組み -環境研究室における研究取り組み-

摘要

近年，現地の一部の「おかやま夢白桃」において，樹勢低下が原因と考えられる成熟期前進 により，「清水白桃」と成熟期が重なる問題が生じています。そこで.「おかやま夢白桃」の樹 勢の評価手法を作成し，安定生産技術を確立するための試験研究を環境研究室と果樹研究室で連携して5か年計画ではじめています。 (1)「おかやま夢白桃」の樹勢を客観的に評価する指標の作成（担当：環境研究室） 樹勢の評価指標の作成にあたって，「おかやま夢白桃」は「清水白桃」よりも葉芽が多く， 葉のサイズが小さいといった品種固有の特徴を持つことを踏まえる必要があります。「おかや ま夢白桃」にあつた指標を作成するにあたり，「清水白桃」と比較したところ，「おかやま夢白桃」 の葉中チッ素含量は少なく ，新梢構成比で花束状短果枝の割合が高いことが分かりました。さ らに.「おかやま夢白桃」のうち，通常の時期に成熟する樹（通常期成熟樹）に比べて，前年 度に成熟が早かった樹（早期成熟樹）ではその傾向が強いことが分かりました。これらのこと から，樹勢を評価する指標として，葉中チッ素含量や新梢構成比が有効と考えられましたが， 平成29年度は全般に成熟期の前進が認められなかったことから，30年度も継続します。