キユウリ黄化えそ病抵抗性遺伝資源の検索と育種の現状

摘要

キユウリ黄化えそ病は，メロン黄化えそウィルス(Melon yellow spot virus, MYSV)を病原とするウィルス 病で（KAToetal.,2000 ；竹内ら，2001)，日本国内では 関東，東海，四国および九州地域（奥田ら，2009),海 外ではタイ，台湾，中国およびェクアドルで発生が報告 されている（Chenetal.,2008 ； Chiemsombatetal.，2008 ； Gu et al., 2012 ； Quito-Avila et al., 2014) 。 MYSVはトスポ ウィルス属に属するウィルスで，ミナミキイロアザミゥ マijhrips palmわによって永続伝搬される。MYSVに 感染したキユウリ(Cucumis sativus)は葉にモザイク， 退緑斑点，黄化およびえそ症状等を示し，果実にも退緑 斑点やモザィク症状を生じることから，これらの症状に よる収量と商品果率の低下が問題になる。本病の防除に は媒介虫であるミナミキイロアザミゥマを駆除すること が最も重要であるが，完全防除は難しいうえ，近年薬剤 に対して感受性の低下が問題となっていることから，そ れは容易ではない。キユウリ黄化えそ病抵抗性品種の育 成が強く求められているにもかかわらず，いまだその育 成には至っていない。本病は，世界的にも日本での発生 が初報告とされ，海外から抵抗性品種、系統の導入がで きなかった。そこで，筆者はキユウリ黄化えそ病抵抗性 遺伝資源の検索を行い，新たに見いだした抵抗性素材を 利用して抵抗性品種の育成に取り組hでいる。本稿で は，キユウリ黄化えそ病に抵抗性を有する遺伝資源およ びその遗伝資源を利用して育成された育種素材について 紹介する。