種子伝染性病害をめぐる最近の国際動向VI

摘要

本報第I報で，駒田、浅賀（1998)が種子伝染性病害 に関して欧米で大きく動き始めたこと，それに対して種 苗業界で国際健全種子推進機構（International Seed Initiative ：ISHI)を組織して種子健全性検査法（Seed health test)の国際標準化の取り組みを始めたことを報 告した。その後，本報の続報の中で，ISHIの取り組み や成果，種子健全性検査についての欧米での考え方，関 連機関の動き等を紹介してきた（浅賀'駒田，2000;駒 田，2000;塩見、五十嵐，2005;塩見ら，2008)。前報 から6年を経過し，種子健全性検査に対する考え方も少 しずつ変わってきた。また昨年11月には，ISHIで検査 法策定作業を担当している技術調整グループ（TCG)会 議を7年ぶりに日本で開催したことから，種子健全性検 査法策定の現在の状況，欧米での種子健全性検査の動向 や種子伝染性病害に対する取り組みを紹介する。さらに 近年，ゥリ類果実汚斑細菌病（BFB)ゃジャガイモやせ いもウイロイド（PSTVd)等，種子伝染性病害が植物検 疫上の問題になることが多くなっている。これらについ ても現在の各国の動きとあわせて紹介する。