花成遅延を誘発する細胞質置換パンコムギ系統および正常細胞質系統おけるra〗V7同祖 遺伝子のヒストンメチル化修飾パターン変異

摘要

コムギの花成には、花成ホルモン遺伝子JVFT (Wheat FLOWERING LOCUS T )とWFTを正 に制御する花成促進遺伝子 VRN1 (VERNALIZATION1)が重要な役割を担 う。春化前の植物体における丽Jの発現は ェピジェネティックに抑制されており、春化 によりこの抑制が解除され発現が上昇する。 この制御はヒストンのメチル化修飾によって 行われている。正常細胞質系統 (ChineseSpring:CS)に比べて近縁野生種 Aegilops geniculate細胞質をもつ細胞質置換 系統(gen)-CSは、VRN1発現の上昇が遅く 、 花成が遅延する。これまでの研究により、 VRN1のプロモーター上流域における遺伝子 発現の抑制指標となるヒストンH3K9のメチ ル化修飾が、（gen)-CSにおけるVRNIの発現 上昇の遅延及び花成遅延に関与していること が示唆された(梅北ら育種学研究17(別2)， 2015)。本研究では、CSの,ゾ各同祖遺伝 子(VH7-AJ 、 vrn-Bl、 VRN-D1)におけるヒスト ンのメチル化修飾を明らかにするため、 ChIP(Chromann lmmunoorecipitation)尸ッセっ 及びChlP-qPCRを用いて、正常細胞質系統及 び細胞質置換系統におけるV画同祖遺伝子 それぞれのヒストンメチル化修飾パターンを 調査した。