植物ゲノム編集技術としての遺伝子ターゲティング：技術の現状とイネ耐病性関連遺伝子 OsRaclの恒常活性化改変

摘要

近年の急激な人口増加や気候変動など、農 業事情が急変する中で食糧増産や環境改善を 推進するため、迅速かつ汎用性の高い新規育 種技術が求められている。その代表例が遺伝子組換え（GM)を利用した分子育種であり、 既にトゥモロコシゃダイズ等にて利用され、 世界規模で普及しつつある。しかし、GM作 物ではランダム遺伝子組換えにより植物ゲノ ムに人工的な塩基配列が残るため、生態系や 食の安全への懸念があり、さらなる技術改善 が必要である。そのため「次世代植物育種法」 の開発が欧米を中心に進められている。その 一つに、人工ヌクレア一ゼ等を用い標的遺伝 子領域にDNA 二本鎖切断と遺伝子修復を誘 導する「ゲノム編集技術」の応用があり、人 ェ的な塩基配列を残さない遺伝子改変が可能 である。近年になり種々の人工ヌクレアーゼ が発表され、注目されている手法である。