周年放牧肥育牛肉の生産技術と肉質特性

摘要

わが国の肉用牛生産は、畜舎でゥシを飼養し 海外からの穀物飼料に過度に依存するという 特徴を有する。従って、本来は草食反芻動物で あるゥシが、少量の粗飼料と多量の穀物飼料に よって生涯飼養される。近年のわが国の畜産業 全体において、純国内産飼料自給率（可消化養分総量：TDNベース）は26%であり、大家畜経 営（肉用牛；肉専肥育）では、飼料自家生産の 割合および粗飼料給与率（レ、ずれもTDNベース） は、それぞれ1.7%および10. 8%である"。こ のような脆弱な飼料生産基盤のもとに成り立 つ肉用牛生産方法は、穀物需給や飼料価格の変動などの影響を受けやすいと考えられる。一方、 生産される牛肉については、専ら筋肉中の脂肪 含量を高めることに改良の力点を置き、食品と しての栄養学的な価値を高めることは追究さ れていない。これは牛肉市場において枝肉単価 に及ぼす影響が最も大きい格付項目力、脂肪交 雑等級（BMSNo.)であること2)に起因するもの と考えられる。