地球生命興亡史: 顕生代における放散と絶滅

摘要

地球生命史の中で最近の約5億5,000万年間は，多様な生 物がいたことが明らかであるという意味で，「顕生代(Phaner-ozoic：)」と呼ばれる。その中を三分して，古いタイプの生物 がいた時代を「古生代（Paleozoic" (5億4,000万-2億5,000 万年前)，新しいタイプの生物の時代を「新生代（Cenozoic；)」 (6,500万年前以降)，そして両者の中間の時代を「中生代 (Mesozoic)」（2億5,000万-6,500万年前）と呼ぶ。古生代 以前の約40億年間は，「先カンプリァ時代（Precambrian)」 と一括される。先カンブリア時代には，生命の起源，初期進 化，そして光合成の開始，真核生物の出現，多細胞生物の出 現，性の進化など，いくつかの進化史上最重要の事件が起き ており，最近20年間にその生命史の詳細が飛躍的に解明さ れ始めた。とはいえ，岩石や地層に残されたその時代の直接 的な記録の質と量は，顕生代のそれに遠く及ばない。このコ ントラストができた最大の理由は，先カンプリァ時代の生物 の体が硬い骨格（殻や骨）をもたず，軟体部のみから構成さ れていたためで，結果として地層中に化石として残りにく かったからである。