2010年ロ蹄疫発生からこれまで -宮崎県養豚農家の「気持ち」を振り返る

摘要

2010年4月20日に宮崎県で発生 したロ蹄疫は、発生農場292戸と ヮクチン接種後殺処分を行つた農 場1,011戸の合計1,303戸の農家で 飼飼養していた家畜約29万頭の尊 い命を奪い、多大な犠牲を払って 終息しました。口蹄疫の発生はこのような大惨 事を引き起こした、畜産では未曾 有の出来事でした。しかし2011年 3月にはさらに東日本大震災を経 験したこともあり、残念ながら口 蹄疫は発生地以外の多くの人にと つて過去のものになりつつありま す。宮崎県でも畜産の復興は前向き に進hでいますが、その道のりは 緩やかです。そして、再開の可否にかかわらず、発生前に豚を飼つ ていた人たちにとっては、当然の ことながら口蹄疫は過去のものと なってはいませh。本稿は、ロ蹄疫終息からちよう ど1年後の2011年8月にNOSAIみ やざき尾鈴診療所にて、宮崎県内の被災養豚農家と行った「口蹄疫 による養豚農家の精神的ストレ ス」の参加型調査の内容をまとめ たものです。この調査に参加した のは①自分の農場の殺処分を経験 し、ほかの農場の殺処分にも応援として積極的に参加した5名の養 豚農家②口蹄疫発生から終息まで 継続して殺処分に携わつたレンダ リング会社社員1名の計6名。全 員が1枚の模造紙を囲hで、それ ぞれの想いを語り、たくさhの小 さな紙に1つずつ自分の声を載せ ていきました（写真1)。