肉用牛経営をよくする 生産性向上技術第9回寄生虫病対策（後)

摘要

牛のコクシジゥム症は、寄生虫病の中では最も感染率が高く、子牛では四〇-六〇％の牛が感染しているともいわれています。発症牛は早期に治療すれば回復しますが、時には治療効果がなく、慢性経過をとると発育不良(ひね子牛)になったり、廃用されるなど大きな経済的損失を与えます。コクシジゥムの発生は日本国内だけではなく、世界各地で発生が認められています。欧米では約八〇％の牛が感染していると報告されており、わが国でも半数以上の子牛が感染している地域が多くあります。牛のコクシジゥムはアイメリァ属の一つで、牛に感染するものは一四種類存在します。この中で特に重要な種類は、病原性の強いアイメリァツル二 アイメリァボビイス(E.bovis)の二種類があり、単独感染以外に他の種類との混合感染で症状が重篤になる場合が多くみられます。病原性が中等度のものではE.elllpsolaalis E.alatsamensisE.auburnensis、病原性が軽度なE.slibspllericaなどの種類があります。