蜂群崩壊症候群その後 ～2008年冬米国視察の報告～

摘要

2006年、アメリカで起こったミツパテが突然いなくなる現象、蜂群崩壊症候群（colony collapse disorder：CCD）は、ミツパテに多くの作物の花粉媒介を依存している米国農業に対して重大な懸念を引き起こし、世界の注目を集めた。筆者の一人（木村）も、一年前本誌（2008年3月号）でその概要を紹介した。一年たった今でも、その原因は明らかになっていないし、2007年度も同様な現象がアメリカ東部を中心に発生した。養蜂の形態がアメリカとは異なる我が国では、CCDは起こらないであろうと一年前には考えていた。しかし、今年度、筆者らが行った養蜂家向けのアンケート調査の結果、我が国でも多くの蜂群が原因不明でいなくなっていることが明らかになった。この原因がアメリカと同様であるかは分からないが、よりいっそうCCDに対する対処を考えておかなくてはならない。対処策を考える一環として、筆者らは、米国へCCDの現地視察を行った。約一週間という短い期間ではあったが、多くの知見を得ることができたので、その概要を紹介する。