飼料米給与試験から考察する畜産物の 品質 --畜種ごとの給与試験結果から--

摘要

トウモロコシ価格の高騰から購入飼料依 存型のわが国畜産業は直撃を受けている。 水田を活用して生産する米を家畜の濃厚飼 料の代替とする取り組みが注目を集めてい る。その一方、一部を除いて実際に利用す る畜産農家側は給与経験がほとhどなく、 給与方法や効果についての情報が不足して いるのが現状である.。そこで、これまでに 研究機関で行われた給与試験の結果を紹介 しながら、飼料米給与と畜産物の品質、給 与者の心構え等を考察してみたい。飼料米の給与研究は、余剰米対策として1980年代に都道府県の研究機関で実施さ れ、その後は空白期があり、2000年代から 再び実施されている（表，1、2、3）。これ までの研究を整理すると、ひ）肥育豚、肥 育牛、採卵鶏への飼料米給与の基本的な 技術が解明されている、は)余剰米の早期 解消の視点から、トウモロコシ、配合飼料 等の代替割合はかなり高い研究が行われて いる、(3）畜産物の品質についても技術蓄 積が行われており、今日的な情報として十 分に活用できるものである、(4)畜産経営 においても一部地域で実証的な給与が行わ れ、畜産物の特産化を図っている事例もあ り、参考にすべきである。