ICタグを活用した持続可能な工業的農業（畜産）の可能性

摘要

近年、ICタグは社会的に非常に注目されてきている。 今年5月に日本経済新聞社より発行された『これが新成長ビジネスだ！ 』（三菱総合研究所編著）においても、最初の章の2番目に挙げられている。本稿はそのICタグを用いた畜産のIT化について、①ICタグとは何か、②農業、特に畜産で用いる意義、③実用化においての問題点、④現在の状況、⑤将来の姿、の順に概説したい。 畜産分野でのICタグによる個体管理は、大規模農場にとっては、正確な農場情報の把握に絶対不可欠であり、小規模農場にとっては、生き残るための高付加価値化のための銘柄確立において必要不可欠と考える。 また、ICタグの意味するものは、見方を変えて極端にいえば、「ICタグを付けた商品がしやべる」ことである。 豚が自分の来歴を語り、牛が自分の育ちを語る。 そして消費者の前でパックになった肉が来歴や出自をITにより語ることである。 このような観点から、ICタグによる畜産を「消費者と生産者を信頼の絆で結ぶ」ための一手段ととらえ、また、畜産の本当の意味での鋒北の手段としてとらえ、日本の畜産に微力でも貢献できることを願って進めてきた。