ジビエの課題と将来

摘要

日本の食文化は古くから大陸文化の影響を受け、水田稲作の始まりとともに主食と副食からなる食事スタイルを形作ってきた。また、肉食は仏教の普及により禁忌されたが、明治以降に復活し、畜産の振興とともに食肉消費を発展させた。そして、第二次大戦後には学校給食でパン食が導入され、肉や乳製品の需要はさらに拡大した。一方、シカやイノシシなど野生動物の肉を食べる機会は限られるようになったが、野生動物の個体数が増え、農林業被害の拡大が顕著となった。そこで個体数を減らすための捕獲が行われ、得られた産物（肉）は食材として活用されることになった。こうした動きは日本各地それぞれの特徴を生かし、自律的で持続的な社会を創生しようとする「地方創生」とも一致して各地に波及した。