黒毛和種繁殖牛へのビタミンAD3E，ミネラル投与と市販精液ストローの半量授精による受胎率

摘要

実験対象牛では平成17年初頭から18年後半にかけて，人工4受精による再発率が高い傾向にあった。 このため18年後半からビタミンAD3Eとミネラルを1頭当たり約50g投与し，投与飼料の欠乏部分を補った。 また，濃厚飼料価格の高騰からくる収益減に対処して，1頭当たり牛精液凍結ストローの1／2量を人工授精に供した。 その結果，18年度の人工授精による受胎率は初回，2回，3回，4回と5回別に，それぞれ51，23，11，6.4，6.4％となり，2回目までの受胎率が74％であった。 これに対し，19年度の受胎率は初回，2回，3回別に，それぞれ72，24と2.4％となり，初回と2回目までの受胎率が96％と向上した。 初回受胎率では19年度が18年度に比べて有意（Pく0.05）に高い成績となった。 また，19年度には4回目に人工授精を処した牛はいなかった。 18年度に初回の人工授精で受胎した牛の24頭では，19年度の人工授精で初回に受胎したものが20頭（83％），2回目が3頭（12.5％），3回目が1頭（4％）の割合となった。 また，1白年度に人工授精の2回目で受胎した11頭では19年度の人工授精で初回と2回目受胎が，それぞれ10頭（91％）と1頭（9％）となり，初回受胎への回帰率が高かった。18年度の人工授精で3回，4回と5回目に受胎した牛は，19年度の人工授精では初回よりも2回目での受胎例が多い傾向にあったが，いずれも3回目までの人工授精で受胎した。