実践飼料学の失敗と成功（26) —品質管理半世紀の軌跡から一

摘要

植物性原料に含まれているフィチン酸は，金属イオンの亜鉛（Zn)や鉄（Fe)などとキレート化 合物を作るので，その吸収.利用率に影響する（本誌2017年71卷6号499-503)。Smith, W. H. b(1962.J.Ani.Sci.21:399ni,豚不全角化症（パラケラトーシス）に及ぼす蛋白質 (の影響について試験した。その結果，フィチン酸を含む分離大豆蛋白質を用いた飼料(Zn含量： ；ppm)の不全角化症は8頭中8頭発生した力S，フィチン酸を含まない脱脂粉乳あるいは試薬用力 :ィンを用いた飼料（Zn含量：各々16ppm 、 6ppm)の不全角化症は両区共に発生しなかった。その原因として，各蛋白質源中の「Znの利用率」の違いを指摘している。すなわち，ラット .よるZn消化吸収率は，カゼイン84%に対して分離大豆蛋白質44%で，蛋白質源中のフイチ '酸量に反比例すると言われていることを挙げている。