硝酸性窒素等の基準引き下げに対応する 畜産廃水の浄化処理技術

摘要

公共用水域に放流する排水中の「アンモニア，アン モニゥム化合物，亜硝酸化合物及び硝酸化合物」（以降，硝酸性窒素等と略す）が規制されてから12年が 経過しようとしている。国が定める硝酸性窒素等の 排出許容値(一律排水基準値）はlOOmg/Lであり， 区域によっては，都道府県の条例によって，より 厳しい上乗せ規制が行われているところもある。畜産分野については，一律排水基準値への早急な 対応が困難とされ，3年間の期限付きで暫定排水 基準値が認められている。硝酸性窒素等の規制が 施行された平成13年7月の暫定排水基準値は 1,500mg/Lであり，3年後の平成16年7月には 900mg/Lに引き下げられた。その後，2回の据え置 き延長が認められて現在に至っている。このように， 畜産分野の一律排水基準値に向けた対応の進みが 遅いのは，他の分野に比べて規制対象となる事業場 数が約30， 000件(環境省調べ）と著しく多いことに 加え，長く続く畜産分野の収益の低迷によるところ が大きい。しカゝし，他の分野で一律排水基準値への 対応が進む中，畜産分野だけが，いつまでも暫定排 水基準値を認められ続けることはないと考える。