フリースタンディングなPdナノ粒子に発現する強磁性

摘要

これまでPdナノ粒子に発現する強磁性の起源について説明してきたが，ナノ粒子を新しい磁気機能材料として利用することを考えると，その磁性を外的な手法で制御することが必要である．近年，化学的手法で作製されたAuおよびPdナノ粒子での強磁性発現が報告されており,これはナノ粒子磁性制御の手法として重要な指針を与える．Pdナノ粒子に界面活性剤を弱く結合させたときには，強磁性が発現することが報告されている。同様の研究がAuナノ粒子に対しても行われ，粒子の周囲に結合させる界面活性剤の種類などにより，強磁性が発現する場合としない場合があることが見いだされている．このような系での強磁性発現の起源は未だ明らかにされていないが，粒子の表面を化学的に修飾することで，その磁性をいろいろと変化させることができることがわかってきた。今後,化学的手法を援用して，表面修飾を用いたナノ粒子磁性の制御が重要となってくるものと考えられる．以上のように,本来強磁性を示さない物質もチノ化という手法を用いることで，強磁性となりうることがわかっできた。 このように強磁性体の範囲を拡ぼることで，もし強磁性を示すならば優れた機能をもつはずの物質を新たに強磁性体へと変身させることができる。