微生物が変える人間社会－解決困難な医療問題にせまる,XDRTBと放線菌二次代謝産物CPZen45

摘要

微生物は地上や，海中に存在し人間社会に影響を及ぼしている。病原菌の出現はしばしば歴史を変えるような影響を与えた。中世の度重なるペストの流行は欧州人の三分の一を殺し，各国の発展，衰退に大きな影を落とした。一方我々人間もこれら微生物を利用して人間社会を変えてきている。人類史の早い時期に酵母によるアルコール発酵の酒類の生産は微生物が人類とともに歩hできた好例である。では現代では実際にどのように微生物を我々は利用しているのであろうか。微生物は体内で種々の代謝産物を作り体外に出している。これを二次代謝産物と呼ぶが，この産物の中に我々の疾病との戦いを助けてくれる抗生物質が含まれていることを初めて示したのが1928年アオカビ（真菌類）からのフレミングによるペニシリンの発見であった。10年後のフローリー，チェインに依る再発見で初めてペニシリンは使用可能となった。1942年のワックスマンの放線菌からの抗結核薬ストレプトマイシンの導入で抗生物質の時代といわれる怒涛のような開発によってウイルス疾患を除く殆どの感染症が解決したかと思われた。