新規プロテオーム解析手法2DICALとその臨床応用

摘要

われわれはLCMS(Liquid chromatography and mass spectrometry)で作成される膨大なピークデータを効率よく定量的に解析する手法として2DICAL(2-DimensioIlal Image Converted Analysis of LCMS)法を考案した。2DICAL法は複数のスペクトラムからなるLCMSデータを，各スペクトラムの相関係数からLCの時間変動を補正して，質量電荷比(m/z)，保持時間(RT)の2軸を持つ平面に描出する手法であり，これにより同一ペプチド由来のピークが，強度(Intensity)を変数に持つm/z，RT座標に変換され，複数サンプル間での無標識定量比較を可能にした。ここで，サンプル(S)をもうひとつの次元ととらえると，ひとつのピークはm/z，RT，Sの3次元であらわされることになり，同一m/z)のピークをRT，サンプルの2軸の平面で描出することが可能となる。この平面での描写で，多数検体間の同一ピークの定量比較が可能となり，LCMSデータでの多数検体解析が可能となった。このシステムは，大量の臨床サンプルを扱うことを目的として開発されたが，nanoLCの流速安定性の検討やMass Spectrometryの機能評価にも応用できる。前半では，2DICALの機器機能評価への応用を論じ，後半では臨床プロテオミクス解析における詳細を論じる。