犬再発性側腹部脱毛症

摘要

犬再発性側腹部脱毛症の臨床的特徴は，通常約1年で繰り返される体幹部における脱毛である。現在まで，この毛周期異常が発生する病理学的な原因は明らかにはなっていないが，犬種や家系に好党系統があることから，病理発生には遺伝的な素因の介在が示唆される。本稿ではこの稀な疾患の臨床的な特徴，診断および管理につい　て述べる。　犬再発性側腹部脱毛症（CRFA）が最初に報告されたのは約20年前であるが，これまであまり研究されず，その理解も遅れている。この皮膚疾患の発生は稀であり，地理的な条件によるが通常はみられない。最初にこの不明な疾患が文献上に現れたのは卵巣子宮摘出術を受けた犬における発生であるが，それ以前に成人性ソマトトロピン症として報告されていた犬の中にも，自然再生した毛の生成を成長ホルモン投与による結果であると誤って解釈されたCRFAの真性症例が含まれていた可能性が高い。