神経疾患とニューロ イメージング総論

摘要

現在の臨床医療では，神経疾患に関するCT, MRIなどのニューロィメ一ジングの役割は非常に 大きい。脳外科や神経内科を受診する患者さhの ほとhどには診断のみならず，経過観察や治療効 果判定などの目的で何度かニュ一口イメージング が行われる。全国では3000台以上のMRIが導入さ れており，大きな病院では複数台は当たり前で， たとえば東大病院では6台，順天堂医院でも5台の 臨床用MRIがフル稼働し，毎日100名程度の検査が 行われている。機能局在が重要な脳に於いて，局 在を示してくれる画像の役割が高くなるのも当然 である。脳の評価法としては，歴史の長い神経症候学や 心理学に比べ，ニューロイメージングの歴史はそ れほど古くはない。1970年代後半にCT， 80年代に MRIの臨床応用が始まり，まずは頭部外傷や脳腫 瘍などの明らかに形態変化のある脳外科領域の診 断で始まり，その後脳卒中，白質病変，代謝疾患 などの既存構造の変化が主体の神経内科領域へと 応用が進hでいった。現在では，認知症や精神科 領域でのうつ病や統合失調症などの，視覚的には 大きな異常のない場合における画像統計解析の手法の開発が進hでいる。