麻痺性兎眼に対する耳介軟骨移植術の検討

摘要

緒言:顔面神経麻痺における麻痺性兎眼に伴う乾燥性角結膜障害や眼周囲の醜形は患者のQOLを大きく損なうため、迅速かつ確実な対応が求められる。そのため、自然治癒の可能性のある可逆的な病態であっても、手術が検討されることもあり、低侵襲で修正が容易な方法が適している。耳介軟骨移植による兎眼矯正術はそのような条件を満たす方法のひとつであり、顔面神経麻痺の治療における重要な手術手技でもある。当科で施行した麻痺性兎眼に対する耳介軟骨移植による兎眼矯正術について検討したので報告する。対象と方法:2008年1月から2017年10月までの9年10か月間に、当科で麻痺性兎眼に対する耳介軟骨移植による兎眼矯正術を施行した症例について、年齢、性別、原因疾患、術式、追加.併用手術、予後を検討した。主な術式は、耳輪脚を避けて耳甲介舟または耳甲介腔から採取した軟骨を、上眼險では險板上縁から切離したミュラー筋の尾側、下眼瞼では瞼板下縁から切離したlower eyelid retractorの頭側に揷入する方法である.