顔面神経麻痺における眼瞼部病態の基本病態単位への分解、およびそれに基づく 顔面神経麻痺各評価法における眼周囲評価項目の妥当性の検討

摘要

眼瞼部の形態や機能に影響を及ぼす筋群のうち、顔面神経 支配の筋としては、前頭筋と眼輪筋が主なものである（鼻根 筋?皺眉筋が、眼輪筋と共同してそれと同様の影響を及ぼす）。 また、上唇挙筋、上唇鼻翼挙筋、小頰骨筋は、下眼瞼皮下を 通過しており下眼瞼形態に影響する可能性があるが、眼輪筋 と比べるとその影響はさほど大きくないと思われる。陳旧性 顔面神経不全麻痺の一部や完全麻痺では表情筋の基礎緊張が 低下?喪失し（筋の弛緩）、不全麻痺の別の症例群では基礎緊 張が亢進する場合もある（筋の過緊張または拘縮）[1]。前頭 筋や眼輪筋の基礎緊張の障害の程度によって、安静時の眼瞼部の形態?左右対称性や機能がさまざまな形で損なわれる[2]。 一方、これら基礎緊張の異常とは別の座標軸として、筋の収 縮力の低下ないしは正常という病態べクトルがあり、これは 顔面随意運動時の異常に関係する[1]。