島状側頭筋移行術(Lengthening temporalis myoplasty)による笑いの再建

摘要

島状側頭筋移行術(Lengthening temporalis myoplasty ； Labbe D,1997)は側頭筋を順行性に移行する顔面神経麻痺 動的再建法であり、早期に確実に筋JR縮が得られる利点があ る[1，2]。しかし、オリジナル術式では頭部冠状切開による アプローチや側頭筋起始部を全範囲で剥離すること、下顎骨筋突起を離断するのに類骨弓の切断?再固定を要すること、 さらに一般的な形成外科医は手術操作部の解剖に不慣れであ るという要因も加わり、本術式が煩雑で侵襲が大きいという イメージがあった。しかし、Labbも[3，4]自身術式の改良を 重ね、我々[5,6]も低侵襲化や合併症回避の工夫を重ね、安 定した成績を得るに至っている[7]。本稿では本術式への理 解を深めてもらうため、臨床解剖と手術手技を中心に、本法 の詳細について報告する。