カプセル内視鏡を用いたセレコキシブ，ナプロキセンとオメプラゾール，およびプラセボによる小腸障害の評価

摘要

【背景】COX2選択的阻害薬による胃十二指腸粘膜障害は非選択的NSAIDs（非ステロイド性抗炎症薬）より少ないが，小腸粘膜への障害については明確になっていない．健常人を対象にかプセル内視鏡を用いて，COX2選択的阻害薬などの小腸粘膜障害を，プラセボを対照とした多施設二重盲検試験として検討した．【方法】カプセル内視鏡で正常であった健常人を無作為に以下の3群に分けた．セレコキンブ200mgの1日2回投与群（n＝120），ナプロキセン500mgの1日2回とオメプラゾ、－ル20mgの1日1回の併用投与群（n＝118），プラセボ投与群（n＝118）の3群である．いずれも2週間投与後の小腸粘膜障害をかプセル内視鏡で比較検討した．【結果】スクリーニングのカプセル内視鏡で13.8％（57/413）に小腸の粘膜障害を認めた．小腸粘膜障害の平均個数と肩所見率は，ナプロキセンとオメプラゾール併用群で2.99(+-)0.51，55％で，セレコキシブ群で0.32(+-)0.10，16％と，プラセボ群で0.11(+-)0.04，7％との間に有意差（p＜0.001）を認めた．セレコキシブ群とプラセボ群は僅かな着意差（p＝0.04）を認めた．【結論】非選択的NSAIDsとプロトンポンプ随喜薬の併用より，COX2選択的阻害薬による小腸粘膜障害は少ない．また，健常人において小腸粘膜障害の頻度はある程度認められ，今後，カプセル内視鏡を用いる研究ではこれらを考慮する必要がある．