レーザーを用いた新しい内耳爆傷動物モデル

摘要

爆風による外傷性脳損傷(blast-induced traumatic brain injury ： bTBI)は爆発に伴う爆風 (blast wave)に暴露されることにより生じ、先行する衝撃波とそれに引き続く超音速の流れ により構成される圧変化が、何らかの形で頭蓋内に伝播し引き起こすとされている（参考文 献1)。その他にも爆傷による耳科疾患として、鼓膜穿孔や耳小骨離断、内耳障害などが挙 げられ、不可逆的な感音難聴や耳鳴を合併する症例もあり注意が必要である。現在までのと ころ爆傷による内耳障害メカニズムは、ほとhど解明されていない。そこで、爆風による内耳障害メカニズム解明には、動物実験モデルの作成が必要である。 これまで爆風に関する研究は実際に爆薬又は類似したものを使用することが多く、実験室レ ベルでの動物実験は極めて困難であった。最近では、高強度のレーザー光を利用して発生す る衝撃波の一種であるレーザー誘起衝撃波（Laserinduced shock Wave)を用いて、頭部?肺の爆風傷動物モデルの作成が報告されている(参考文献2 ? 3)。