建築紛争の現状と法的解決の仕組み

摘要

東京地裁に建築紛争事件についての集中部が、この4月に誕生したことも含めて、最近の建築紛争をめぐる状況など若干気づいた点をお話したい。 内容は、すべて私の個人的な意見である。 東京地裁では、建築事件はすべて合議で処理しており、3人の裁判官で判断することになっているので、私の意見は、そのうちの1票に過ぎないことをご承知おき下さい。 建築事件については、今まで裁判官は一人で判決を書き終えるまで誰にも相談することが出来ずに、非常に孤独な作業を強いられていた。 このたび、法律家と建築界の方々が共同して建築紛争の解決に当たる支援体制がスタートしたことは大変心強いことである。 法律判断と、その基礎をなす技術的な理解が車の両輪のように機能して初めて、建築紛争を適正にして迅速に処理することが叶能になるのではないかと考えている。 現に私自身、調停の場にいて建築専門家の先生方とフランクな立場でお話ができることで孤独から解放された思いで一杯である。 建築の病理的側面である紛争解決に取り組hで頂いたということに対して敬意を表したい。