大空間構造を支える鋳造品--第一回「鋳造品におけるNCN490」

摘要

鋳造品は、比較的自由な造型を可能とすることを特色とし、その中で強度·溶接性が鋼材とほぼ同等の鋳鋼品は、建築などの溶接構造部などにも使用されることがある材料である。 2000年6月施行の建築基準法において、鋳鋼品に、溶接部強度を含めてF値が与えられたことは、鋳鋼品が広く建築物に使用されるきっかけを与えるものである。 ところが、一般鋳鋼品の中で最も強度が高くとれるSCW480は、F＝275N/mm~2であるため、汎用的に使用されている490N/mm~2級鋼材（F＝325N/mm~2）よりも設計強度が低く設定されている。 さらに、旧38条「特殊な材料又は構法」の大臣認定が削除されたことにより、原則として、個別評定の場が閉ざされてしまい、設計者からは、37条の材料認定による、強度バランスのとれた鋳鋼品の開発が要望されていた。