(S252 )3%珪素鉄｛110｝<001>単結晶の冷間圧延組織に及ぼすSn の影響

摘要

Sn は鋼板の再結晶集合組織に大きな影響を及ぼし，電磁鋼板の磁気特性を向上させることが知られている1)．久保田らは， 方向性電磁鋼板の{110}<001>粗大粒を用いて，Sn の冷間圧延加工組織へ影響を調査し，Sn 添加により（１）再結晶の核生成サイトである変形帯（遷移帯）が低冷間圧延率から形成し，（２）その頻度が増加すると報告している2)．遷移帯と再結晶集合組織を結びつけるには，冷間圧延に伴う遷移帯の残留挙動および遷移帯を形成するマトリクス帯の結晶回転を明らかにする必要があるが，久保田らの報告では光学顕微鏡による観察のみでこれらの知見は無かった．本研究では，{110}<001>単結晶の冷間圧延に伴うマトリクス帯の結晶回転および遷移帯の形成?残留挙動をEBSD(Electron Back Scatter Diffraction)法を用いて調査した．