(S057)高炉を模擬した温度及び雰囲気下における柱状SFCA の還元過程

摘要

高炉の安定操業のためには良被還元性の鉄源原料の開発が必要であり，そのためには，高炉の主要鉄源である自溶性焼結鉱の還元挙動を調査し，焼結鉱の組織，鉱物相及び相中の脈石成分組成の違いが還元性状に及ぼす影響についての知見を得ることが重要である。焼結鉱の構成相は，ヘマタイト(Fe2O3)，マグネタイト(Fe3O4)，カルシウムフェライト（主にSFCA）とスラグであり，SFCA にはスラグに覆われた柱状及び針状や，周囲に空隙を有する針状等様々な形態があるが，これらの被還元性の違いを評価するには，試薬から合成した均一な組織を持つ試料を用いて還元実験を行う必要がある。また，既往の研究ではSFCA は，脈石成分を含むFe3O4 (以下'Fe3O4'と略記)，カルシオウスタイト(CW)，Fe の順に還元することが報告されているが1,2)，SFCA の形態と被還元性との関係は，等温下での質量変化より求めたものが殆どであり，高炉の温度·雰囲気を模擬した条件下での各還元段階の反応温度の比較は行われていない。そこで，本研究では柱状SFCA 相を含む試料を試薬から合成し，in-situ で高温XRD を用いて高炉を模擬した温度及び雰囲気下で還元実験を行い，SFCA からFe への還元過程をヘマタイト鉱石の場合と比較し検討する。また，還元途中での試料の中断実験も行い，EPMAにより中断試料の組織観察及び定量分析を行うことにより，SFCA 中の脈石成分の存在状態の変化についても調べる。