低熱膨張Ni 基合金（Ni-20Cr-10Mo-1.2Al-1.6Ti）のクリープ特性に及ぼす結晶粒度の影響

摘要

現在，石炭火力発電プラントの高効率化を目指して，A-USCプラントの開発が進められている。火力発電プラントでは，部品によって使用される温度が多岐にわたっており，部品毎に求められる特性を考慮した材料選定及び熱処理が行なわれる。A-USCで想定されている蒸気温度は，700°C以上であり，12Cr鋼に代わり，γ'相の析出によって高温強度の優れるNi基合金の適用が検討されている。大型のロータでは，製造プロセス中における結晶粒の粗大化が懸念され，クリープ特性や疲労特性がラボ材と比較して変化することが予想される。また，中小型部品でも結晶粒度を最適化することで、耐用温度?信頼性を高めることが可能である。USC141（Ni-20Cr-10Mo-1.2Al-1.6Ti）1)は，高温強度?クリープ特性に優れ，熱膨張率もNi基合金としては，比較的12Cr鋼に近く，A-USC材として有望視されているが，結晶粒度が材料特性に与える影響については，報告されていない。本研究ではUSC141 について，大型部材への適用，さらなるクリープ強度および信頼性の向上を目的とし，結晶粒度とクリープ特性の関係について調査を行なった。