(S056-1)白色X 線マイクロビームを用いたSUS316 における結晶粒界近傍での局所応力分布測定

摘要

近年，原子炉冷却水配管材料であるステンレス鋼の高温高圧水中における粒界型応力腐食割れ(IGSCC)進展速度について，SCC 感受性を非鋭敏化した鋼材であってもその冷間加工度の増加によって亀裂進展速度が増大するという現象が各種実験により指摘されている．この原因のひとつとして，冷間加工度の増加に伴う粒界近傍での内部応力集中の増大が示唆されている．しかし，実際に粒界近傍の応力を測定するのは難しく，十分な検討は行われていない．梶原らはこのような材料分析の課題解決のために，SPring-8 BL28B2 にて，白色X 線マイクロビームと波長分散型X 線回折による金属材料内局所応力測定手法(Energy-dispersive X-ray Diffraction Microscopy :EXDM)を開発した1), 2)．そして，本手法にて既に外部応力印加下でのステンレス鋼中の各結晶粒毎の内部応力の測定に成功している．本研究では，結晶粒界近傍の内部応力集中の有無に着目し，EXDM による外部応力印加下での結晶粒内部及び結晶粒界近傍の応力分布を測定した．