コークスの炭素基質構造の解析--分子レベルからのアプローチ

摘要

エンシュウ炭およびグニエラ炭の1000°C熱処理物のⅩRD測定から後者の方がわずかに結晶性が高いことが示唆された。 また、両者のTPDパターンはかなり異なることがわかった。 エンシュウ炭処理物には鋭い脱離ピークが存在し、脱離ガス量もグニュラ炭処理物より多い。 このことはエンシュウ炭処理物の方が反応活性なエッジサイトが多いということを示唆している。一方、HRTEM観察ではエンシュウ炭処理物の方が積層構造が発達している傾向にあり、ⅩRDの結果と逆であった。 今後はTEM観察の測定点を増やすことでより平均的な情報を得るとともに、XRDパターンの綿密な解析やエッジ面の水素原子の定量などを通じて、コークス炭素基質構造のより詳細な知見を得る予定である。