高齢者の生活習慣修正:高齢者の身体活動と生活習慣病

摘要

身体活動とは，安静にしている状態よりも多くのエネルギーを消費する全ての動作を指し，日常生活における労働，家事などの「生活活動」と，体力の維持?向上を目的とし計画的?継続的に実施される「運動」に分けられる.高齢者の身体活動は，生活習慣病の予防?治療，サルコぺニア.フレイルの予防などを通じて，ADLの維持，生命予後の改善に有効であり，若年?中高年者以上に身体活動量の増加が もたらすメリットが大きい.高齢者でも可能で あれば，若年.中高年者と同様の身体活動に取り組み，身体活動量の維持?向上を目指すこと が望ましい.しかし高齢者では，加齢により心 血管系，代謝系，筋骨格系の疾患のリスクが高ぐ「運動」が制限される場合が少なくないため，併存疾患の評価などメディカルチェックが欠かせない.本稿では，健康づくりのための身体活動基準2013や各生活習慣病のガイドラインを中心に身体活動について概説し，その後に高齢者の身体活動量基準や病態に合わせた運動療法について述べる.