消化性潰瘍（胃?十二指腸潰瘍，急性胃粘膜病変，NSAIDs潰瘍）

摘要

10数年前までは日本人の胃?十二指腸潰瘍 の90 %以上はHelicobacterpylori(H. pylori)に よるものだったが,近年は世代交代によるH.pylori 保有人口の減少，H. pylori除菌の普及な どによH. pylori塲が大きく減少してきている.一方で高齢化社会の到来とともに動脈硬化 や関節炎などの持病を有する高齢者が増加し， 抗血小板薬，消炎鎮痛薬，骨粗鬆症治療薬など の使用が大幅に増えてきている.これらの結果， 日本での消化性潰瘍という疾患の病態の中心が， H. pyloriによるものから薬剤性のものへと大き く変貌しつつあり，最近では消化性潰瘍の約1/3 がァスピリンを含めた非ステロイド性消炎鎮痛 (non-steroidal anti -inflammatory drugs:NSAIDs)によるものになってきている.