我が国の緊急被ばく医療の現状と展望

摘要

1895年11月にRoentgenがX線に関する論 文を発表し，翌年の2月にはBecquerelがゥ ラン鉱石の発見を報告した.ほぼ同時期に Becquerelにより放射線による皮膚の発赤とい う皮膚障害が報告されているが，当時五感で感 じることができないX線が危険であることを. 信じる者はいなかった。.X線により障害が起き ることを初めて報告したのはEdison. Morton. Teslaであり，彼らは別々にX線による眼の障 害を1896年に報告している.更に同年には DanielがX線による脱毛を報告している.また Thomsonが,1日に30分，数日閭にわたり指 をX線の管球に触れると痛み，膨張，硬縮，紅 斑，水疱が生じることを示している，このよう なX線による有害な事象がわかつてきた一方， 著名な学者の多くはそれを否定してきた.医学 の分野に，X線に頻回に被ばくすると皮膚に熱 傷様の症状が出るという事実が受け入れられる までには，実に4年もの歳月を要している.