IX 造血器腫瘍と類縁疾患白血病非定型白血病および特殊型骨髄性抗原陽性急性リンパ性白血病骨髄性抗原陽性T-ALL

摘要

1980年代にモノクローナル抗体を用いた白 血病細胞の系統や分化度の解析が急速に進展し， T細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)の約2割 にCD13, CD33陽性を1),まれにCDirZ陽性を 認めること力知られている2).これらのaberrant な骨髄性抗原(myeloid antigen)の発現が予後不 良因子になりうるのではないかと長年解析力S行 われてきたが，これまでに明確に予後と相関 する表面抗原は明らかになっていなかった.し かし近年ALLの一亜型として，T細胞と骨髄球 系細胞に共通の前駆細胞を起源とするearlyT-cell precursor leukemia(ETP-ALL)力s、提唱され た.ETP-ALLでは，CDlaとCDS発現の欠失 とCD5発現の低下およぴ幹細胞 骨髄球系抗 原の究現を特徴としており，通常のT-ALLに 比較して非常に予後不良であることが報告され ている.本稿では，ETP-ALLを中心に概説し ていきたい.