鉄鋼建材市場の現状と趨勢東鉄値下げの影響やいかに

摘要

建設分野を中心とした秋需の不振と原料安で建材市況の先安観が浮上しっつある。そうした状況で、電炉大手の東京製鉄は11月契約から全品種の販価を3000円引き下げた。同社の値下げが減速感のある建材市場の現状に一石を投じる契機になるかどうか注目だ。足元では、鉄鋼原料市況が全般的に下押す展開をみせ、鉄鋼メーカーに対する需要家の値下げ圧力を高める一因ともなっている。加えて、出荷量の伸び悩みと需給調整の遅れ、内外製品市況の低迷を受け、東鉄は値下げに踏み切った。市場の実態に合ったメーカー建値を提示することで、鋼材市況の〝仕切り直し″を狙った措置だが、他メーカーの今後の対応次第では、市況の下落につながりかねない。円安に伴う生産コスト高の転嫁に向けメーカー各社が製品価格の是正を進めるなか、東鉄値下げの影響がどこまで波及するかが業界の関心を集めている。