小児の特発性脊柱側彎症手術における デキサメタゾンの術後悪心?嘔吐予防効果

摘要

思春期特発性脊柱側彎症に対して後方矯正固定 術を受けた10-19歳の患者を対象に，デキサメタ ゾン予防投与群（n = 11, D群）と非投与群（n= 33, C群）とで術後悪心?嘔吐の発症率に有意差 があるかを後ろ向きに検討した。72時間以内の発 症率はD群vs C群：4/11 vs 26/33〔ォッズ比0ュ5 [95%信頼区間(CI): 0.04-0.68], P=0.02〕で， 術後悪心.嘔吐予防に対するデキサメタゾンの有 効性が示唆された。思春期特発性脊柱側彎症（以下，側彎症）は思 春期の女児に好発し，脊椎の変形が高度な場合 には後方矯正固定術などの外科的治療が行われ る。脊椎後方矯正固定術は強い術後痛を伴い， ォピオイドが鎮痛薬として使用されるため，術後 悪心? 區吐(.postoperative nausea and vomiting: PONV)が生じやすい。デキサメタゾンは合成副腎皮質ホルモン剤であ り，抗炎症作用?免疫抑制作用を有するが，海外 ではPONVの予防薬として小児から成人まで使 用されている3)4)。しかしながら，小児に対する有 効性のェビデンスは，その多く力《扁桃摘出術ゃ斜 視手術などの短時間?小手術から得られたもので あり5)，侵襲の大きな手術における有効性の報告 は見当たらない。