血小板輸血不応を呈した骨髄異形成症候群合併妊娠の緊急帝王切開の周術期管理

摘要

骨髄異形成症候群（myelodysplastic syndrome ：MDS)は，造血幹細胞のクロー ン性増殖と骨髄内 アポトーシスによる無効造血を機序として，末梢 血での血球減少を生じる疾患である。妊娠経 過中にMDSと診断された症例の報告は散見され るが，そのほとhどで治療抵抗性の貧血や血小板 減少が認められ，輸血療法を施行されている。 しかし，頻回の輸血は時に同種抗体産生による血 小板輸血不応(platelet transfusion refractoriness ： PTR)の原因となり， PTR患者では出血が予想 される緊急手術の際の輸血管理に困難が伴う。今 回，MDSを合併した妊娠経過中に濃厚血小板 (platelet concentrate ： PC)輸血によりPTRを生 じ，かつ常位胎盤早期剝離のために緊急帝王切開となった症例を経験したので報告する。