手術室における危機的偶発症に起因する死亡率と年間手術症例数との関係（第2報）：「麻酔関連偶発症例調査2002」の解析結果より （社）日本麻酔科学会安全委員会偶発症例調査専門部会報告

摘要

「麻酔関連偶発症例調査2002」の資料をもとに，麻酔科認定病院における年間手術症例数と手術室における危機的偶発症発生後の死亡率との関係について検討した。 年間1，000症例未満の施設では，1，000症例以上の施設に比べて死亡率が有意に高かった。 また，死亡率が10．00，または20．00/1万症例以上の施設群とそれ未満の施設群を比較すると，おのおの前者で平均年間手術症例数は有意に少なく，年間1，000症例未満の施設が占める割合も有意に高かった。 一．定の年間症例数を確保することが，手術医療の安全性向上に有利に作用する可能性が示唆された。 一方，年間症例数が少なくても死亡率はゼロの施設や，逆に年間症例数が多くても死亡率が高い施設が存在することは，年間症例数の確保のみでは手術医療の安全性を保つことができないことも示している。 また，今回の解析では，症例の重症度や手術の難易度が加味されていない点にも注意が必要である。