人工心肺を用いた心臓?大血管手術における手術中?後の フイブリノゲン値と出血?輸血量の関連性の検討

摘要

人工心肺を用いた心臓外科手術で麻酔導入時から手術翌日の朝（4点ないし5点）においてフィ ブリノゲン値の測定を行い，術中?術後の出血 量?輸血量との関連性について調査を行った。すべての症例で，人工心肺終了時のフィブリノ ゲン値がもっとも低かった。また，手術翌朝には フィプリノゲン値は新鮮凍結血槳投与の有無にか かわらず全症例で上昇していた。術後出血量?輸 血量の総量は，人工心肺直後にフィブリノゲン値 が150mg.dl~(-1)未満であった群で多い傾向が見 られた。人工心肺直後にフイブリノゲン値が100 mg.dl~(-1)未満であつたのは3症例のみであった。 血中フイブリノゲン値の維持は，止血において もっとも重要である。フイブリノゲン値を指標に した輸血療法は，輸血製剤使用の適正化のために も必要とされており，今後さらなる検討が必要で ある。