半溶融圧縮加工による集合組織の形成

摘要

半溶融加工による集合組織の形成の特徴を明らかにするため，半溶融状態の亜共晶AL－SI合金を圧縮加工し，X線極点図法により，加工材の集合組織を調べた．得られた結果は以下のとおりである．固相分率，圧下率がともに中程度の加工条件で{100}方位が現れた．上記（100）方位の発達は,半溶融状態における固相粒子の形状に依存し，これが柱状の場合，顕著になる。 固相分率,圧下率がともに高くなると上記{100}方位に{110}方位が新たに加わる，{110}方位の形成は通常の熱問圧縮加工と同様，すべり変形によるものであるのに対し,{100}方位の形成は半溶融状態における固相の破砕および回転によるものと考えられ,その形成過程を考察した.以上の結果より，半溶融加工においては，その加工条件を適切に選べば,半溶融加工ゆえの特異な集合組織を形成させることができ，半溶融加工は結晶配向化の面からも有力な組織制御の手段となり得る.