特集：材料技術トレンドを読む工業材料キーワード50－超耐熱合金

摘要

近年，エネルギー起源のCO{sub}2削減，地球温暖化防止などの観点から，高効率複合発電や次世代ジェットエンジンなどの開発に期待が寄せられており，その実現に必要なタービン翼材として次世代単結晶超合金など新合金の開発が内外で活発に行われている．1941年に発明されたNi基超合金は，鍛造合金から普通鋳造合金，一方向凝固合金，単結晶合金へと進化してきた．単結晶合金も，初期の第1世代合金から，レニウム(Re)を3wt％程度含む第2世代合金，Reを5～6wt％含む第3世代合金へと開発が進み，現在，第4世代単結晶合金が提案されている．この間の耐用温度向上の経緯を図1に示す．図中「目標」は，筆者らの行っている「新世紀耐熱材料プロジェクト（1999～2003年度）」における開発目標である．代表的なタービン翼用Ni基超合金の組成を表1に示す．Ni基超合金は，母相であるγ相（Ni固溶体）中にγ'相（Ni{sub}3Alを基本組成とするL1{sub}2規則相）が整合析出して生じた整合界面の存在による強化，Re，W，Taなどによる固溶強化などによって優れた高温強度を発揮する．