特集：材料技術トレンドを読む工業材料キーワード50－マグネシウム合金

摘要

マグネシウムは，鉄，鋼などと違い，チタン，アルミニウムと同じく我々人類が日常的に使用してから，わずかに100年少々であるが，マグネシウム合金がもつ軽量性（比重が1.7．鉄の1/4，アルミの2/3），高比剛性（同じ重さならチタンより剛性あり），高振動吸収性（制振材料で唯一軽くて制振性がある），金属であるのでプラスチックに比べ電磁波シールド性に優れ，放熱性がよく，リサイクル性にも優れていることなどから，電子機器類がより薄く，より軽く，さらに高級感，新規性を要求されるため，従来のプラスチックスに代わっでマグネシウムが使われるようになった．マグネシウムは，19世紀初頭に発見され，その生産，応用などの歴史は，アルミニウムとほぼ同じような歩みをたどっている．しかし，アルミニウムが航空機などの輸送関係，サッシなどの建築材など，まさに20世紀の軽量金属素材の代表として，世界で年間約2,500万tも使われるような汎用金属材料としての位置を確保したのに対し，マグネシウムはアルミニウムよりもさらに軽いということで航空機·自動車などに用いる試みは数多くなされたが，活性な金属である，耐食性が悪い，また，素材のコストが高いことから，その軽量性を構造材として生かせなかった．その結果，今日でもマグネシウムは世界で40万tしか使われていない．