環境税·排出権取引の化学物質への適用の限界

摘要

化学物質の環境汚染を防止するため，化学企業の多くは，自ら取り扱う各化学物質を自主管理する「レスポンシブル·ケア·システム」を導入しつつある。また，化学物質のライフサイクル全体を通して環境影響を最小化する「グリーン·サステイナブル·ケミストリ（GSC）」が提唱されている。 これらシステムを導入·運用するために，企業は，化学物質の開発，環境試験，管理などの費用（環境コスト）を自主性に負担することとなる。 しかし，このようなシステムはそれ自体が利益を生むものではないため，個々の企業はこれらシステムを導入·運用するモチベーションを持ち得ない。 したがって，このような自主管理システムを社会に定着させるためには，その環境コストを負担することが企業の利益になる制度を構築する必要がある。