したたかな米金融と原油市場再び水面下で価格高騰への準備

摘要

筆者が毎年9.11同時多発テロに日程を合わせてニューヨークを訪問するようになって10年近い歳月が経つ。ニューヨークのフィールド·ワークでは、グラウンド·ゼロを必ず訪問して、依然として続く世界中のテロ活動や米国を巡る国際情勢の厳しさを肌で感じるようにしている。2001年のワールド·トレード·センターヘハイジャックされた航空機の突入という大惨事から10年近い時間の経過は、10年一昔と呼ばれ、遠い昔のように感じられる。しかし、米国国民にとって大規模テロは、世界経済、文化の中心ともいえるニューヨークで3,000名以上の犠牲者を出し、決して風化していない。むしろ、年を経るごとに、米国は国際的なテロへの戦いの決意を新たにしている。そうした米国国民の揺るぎなき普遍的民主主義への信奉と、それと裏返しとしてのイスラム原理主義への戦いを、グラウンド．ゼロという現場に立つことによって再確認することは、石油という極めて地政学リスクと強く結びついたエネルギーを研究する専門家として、これからも重要な任務（Mission）と考えている。